使いながら地球温暖化に貢献できるヘンプペーパー

大麻(タイマ)といえば、依存性のある薬物で中毒になると、どんな品行方正な人間でも社会からドロップアウトさせられてしまうというような怖いイメージを持っている方が大半だと思います。
しかし、大麻で向精神作用の持ち、麻薬として利用されるのはTHC(テトラヒドロカンナビノール)が含まれる葉と花の部分のみ。
その他の部分に着目すると、茎や果実(種子)からは良質な繊維やオイル、食用のナッツなど様々な資源が採れる、とても利用価値の高い産業用作物であることがわかります。
その上、大麻は、農薬や化学肥料が全く使わずに痩せた土地でも育てられること、約100日で3メートルを超えるほどの高い成長性を持つこと、普通の植物よりも多くの二酸化炭素を吸収して酸素を排出することなど、栽培農家にも地球にも優しい特性を持っています。
負のイメージに固執して、大麻の有用な部分を無視してしまうのはあまりにももったいない。
そんなわけで、有用な産業用植物の大麻を「ヘンプ」と呼び、現在、世界中で多くの団体によって大麻(ヘンプ)の普及活動が進められています。

■ 大麻は森林伐採を予防できる優れた素材
日本製紙連合会がウェブサイトで公開している「日本製紙業界の現状」によると、2011年に日本人一人が1年間で消費した紙の量は、世界平均の約4倍に相当する約220kg。
このうち、約4分の3が海外からの輸入木材によってまかなわれており、日本の製紙業は極端に海外に依存した状態が続いています。
現在では、森林管理で伐採された木材(間伐材)がパルプとして利用されるようになりましたが、これでまかなえる量はたった2%程度に過ぎません。
しかも、国内の間伐材を使用すると割高になりがちなので、結局は安価で入手できる輸入チップに頼っているのが実情のようです。
原料の多くを海外からの輸入に依存する日本の製紙会社は、世界各地で植林を進め、地道に森林を育成する活動も行っていますが、成長が早いためパルプ原料として使用されることの多いユーカリでも植林から再び木材として利用できる大きさに成長するまでに約7年かかるといわれています。
IT機器や電子書籍の普及によって先進国の紙の需要は年々減少傾向にありますが、それでも木材のみで世界のパルプ需要を満たし続けるのは、非常に困難と言えます。
近年は、森林保護の観点から木材以外の植物から作る「非木材紙」の割合を増やそうという機運も生まれていますが、生産コストの問題もあってか、紙の消費量全体の5%にも満たないのが現状です。
非木材紙については、2000年代からアフリカ原産のケナフ(別名:洋麻、アンバリ麻)が木材パルプの代替資源として注目を浴びるようになりました。
ケナフは大麻(ヘンプ)と同様に、成長が早く短期間で多くの繊維が収穫できることが高く評価されているようです。
しかし、ケナフは地面の栄養を吸い上げる力が強く、強い繁殖力を持つため、連作障害や周辺の作物の生育を妨げる可能性が指摘されています。
一方、大麻(ヘンプ)は、先述した育てやすさに加え、土壌の栄養も過度に吸収しないので小麦との輪作も可能。
しかも、密集して植えても問題なく育つので、繊維を大量に効率良く採取できる非常に優秀な作物であることがわかります。
今後、製紙業界全体が木材紙から非木材紙への転換を積極的に進めていくためには、大麻(ヘンプ)を栽培を推進していくことも一つの選択肢といえるのではないでしょうか。
大麻(ヘンプ)のパルプで製造する「ヘンプペーパー」は既に商品化されており、今では製造業者のウェブサイトを通じて注文できるようになりました。
現在一般に販売されている商品は、再生紙に20〜30%程度のヘンプパルプを混合したものが多いようですが、注文すれば100%のヘンプペーパーも購入可能なようです。
価格は再生紙(70%)+ヘンプパルプ(30%)のA4用紙で1枚50円程度と少々高めとなっていますが、今後、大麻(ヘンプ)栽培が拡大して非木材紙の市場も広がれば、生産コストも今よりも下がり、より使いやすくなると思います。
大麻(ヘンプ)のパルプで製造する「ヘンプペーパー」は、森林伐採を大幅に減らして地球温暖化の抑止に貢献できるヘンプ製品といえます。
ヘンプペーパーの普及のためには、一人ひとりが積極的に使っていくことが大切です。
まずは比較的購入しやすい名刺用紙やプリンター用紙を使ってみてヘンプペーパーの手触りや使い心地を体験してみてはいかがでしょうか。

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